ペイントで変わりはじめる、私の暮らし

HAPPY WALL PROJECT

「KGU空き家プロジェクト」とつくる地域の場所

関東学院大学の「KGU空き家プロジェクト」メンバーと共に5月31日、7月2日の2回にわたってHappy Wall Projectを開催しました。

「KGU空き家プロジェクト」とは、横須賀市追浜の谷戸地域にある空き家を、関東学院大学の学生たちがリノベーションし、地域の交流スペースとして活用する取り組みです。
横須賀市は2013年に転出者が転入者を大幅に上回る「転出超過」人数が全国の市町村でワーストを記録するほどに深刻な人口減少の問題を抱え、それに伴い空き家問題も地域全体の大きな課題となっています。
「大学も近いこの場所を自分たちの馴染みの地域として、盛り上げていきたいと思いました」。代表の小池さんはじめ、大きな社会問題に正面から立ち向かう学生たちの言葉と活動にROOMBLOOMも共感し、共同でのHappy Wall Projectを提案して今回のプロジェクトが実現しました。

初回の場所となったのは、2016年にKGU空き家プロジェクトで改修に取り組んだ地域とのコミュニティー一戸建て“おっぱまのま”。
地域交流の場として学生たちが主導で改修し、その後は七夕祭りを開催するなど、KGU空き家プロジェクトの本拠地となっている場所です。

今回はそんな“おっぱまのま”で今後、オープンスペースとしてより活用されるであろう、キッチンスペースと、物置となっていた洋室が今回のHappy Wall Project の舞台として選ばれました。
共同プロジェクトを行うに当たり、学生のサポートをされている兼子先生を始め、KGU空き家プロジェクトの方々にはこんな想いがありました。
「ペイントの技術を習得して、これからのプロジェクトに活かしていきたい」。
これまで学生たちは左官や増築の技術を自分たちで学び、修得してきました。そこで私たちも、ペイントのノウハウを得て今後の活動に役立てていただけるよう、当日のペイント作業のみをサポートするのではなく、ペイントに必要な一連流れとして、色選びやイント自体の基礎知識、道具の使い方、片づけ方なども丁寧にお伝えすることにしました。

そして早速後日、学生たちにとって最初の難関となる「色選び」を行うため、ROOMBLOOMの新宿ショールームに学生代表6人が集結しました。
「ペイント作業よりも色選びの方が気を遣うし、大変でしたね」後に、そんな声が聞かれるほど、学生たちが悩み苦労した工程でした。隣り合ったキッチンと洋室、メリハリがつくようにとブルーとイエローの補色の2色を中心に選びました。そして最終的には、キッチンは奥行が出て広く感じられるダークブルーの「Silence」を、洋室には明るい雰囲気になるよう「breakfast」に決定しました。

そしていよいよHappy Wall Project初日。

KGU空き家プロジェクトメンバーのペイント開始です。上級生はプロジェクトに入ったばかりの下級生に上手に指示を出しながら学生たちが自分たちで考え、時にROOMBLOOMメンバーの代わりに講師役にもなり、説明を行い、協力して進めている姿がとても印象的でした。


途中、地域住民の方々も来られて共にペイントを体験する場面もありました。学生が自ら進んで、地域の方々と交流を図り、まさにコミュニティスペースの拠点として、“おっぱまのま”は開かれた場所になっていました。

そうして夕方、みんなくたくたになりながらもキッチンと洋室が完成しました。
出来上がったスペースに学生たちは、「おしゃれ!」「自分がここに住みたい!」そして、色選びの時に悩んでいた学生たちも、「この色にして正解だったな。自分の部屋も塗ろうかな」という声が出るほど、学生たちも大満足の変身ぶりでした。
自分たちで試行錯誤しながら、主体的に作り上げたことがより、満足感を満たしていたのかもしれません。

続く第2回は、ベトナムからの留学生3人が住むための学生シェアハウスづくりです。
留学生が地域の方々との交流を持てるよう、空き家プロジェクトの一環として取組みます。この日も20名近くのメンバーが集合してHappy Wall Projectを行いました。今回は個室2室とキッチンの計3か所です。第一回目ですっかり自信をつけたメンバー達は、私達が教えることもないぐらいテキパキと作業を進めています。

そんな中、1階から歓声がします。見ると、入居予定の留学生達が、たくさんの生春巻きを持って手伝いに来てくれたのです。ちょうどお腹も空き始めた時間、早く食べたい!とみんなの作業もはかどります。

留学生は、何やらお皿に春巻きを取り分けているのでどうするのかと聞いてみたら、ご近所さんに配りに行くと言うのです。まず自分たちから積極的に関わって行く、そんな姿勢に地域交流のあり方を見た気がしました。

そして、美味しい春巻きやカフェワゴンから振る舞われるコーヒーに元気づけられて、午後からは、留学生たちも一緒に汗だくになりながらペイントしていたら、なんと、ご近所さんが春巻きのお礼に今度はお手伝いに来てくれたのです。何ともほほえましい光景に出会えました。

この場所は「バンマイおっぱま」と名付けられました。「バンマイ」とは、ベトナム語で「始まり」を意味する言葉だそうです。留学生、学生、そして地域の方々との新しいつながりの始まりにぴったりの名前にみんな満足そうでした。

今後もKGUメンバーが行う様々な空き家プロジェクトにROOMBLOOMは協力を続けていきます。KGU空き家プロジェクトのこれからの展開に目が離せません。