9月6日、今回のHappy Wall Projectの舞台は、兵庫県尼崎市、塚口にある学習館です。この学習館は、塚口にある多くの学習館の中でも、指折りの利用率を誇っています。

その理由は図書室。公園の前に建っていることもあり、たくさんの子どもたちが本を読んだり、勉強したりする空間になっています。
「この図書室を利用しているのは、子どもだけではないんですよ」そう語るのは、この学習館の事務長、足立さん。「ここは市の図書館などの本も取り寄せられるので、大人の利用もとても多いんです」共用ホールの予約も、コーラスや体操サークルの利用で、ほぼ毎日埋まっているそうです。

子どもから大人まで、住民のみなさんに愛されているこの場所も、年を重ね少しずつ汚れが目立ってきていました。
そこで今回、足立事務長の呼びかけに二人の有志が応え、このHappy Wall Projectがスタートしました。
有志メンバーは、何度も打ち合わせを重ね、学習館に対する想いを共有していきました。
「集いの場を、“きれいにする”だけではなく、自分たちの好きな場所をつくっていきたいね。」「もっと人が集まる場所にしたい。」「様々な年代の方が利用するから、子どもっぽくせずにオシャレな空間にしたい。」
こんな想いから、ペイントするのは「たくさんの人が利用する場所」に決まりました。学習館の入り口部分、図書室、そして共用ホールです。
次は、それぞれの場所への想いを、色に託していきます。
入り口部分は、学習館向かいの緑いっぱいの公園から引き続いて入ってもらえるよう、グリーンを。図書館は落ち着いた空間をイメージしてブルーを。共用ホールは、健康的で明るい空間をつくりだすピンクを選びました。施設全体として、利用者のみなさんに元気いっぱい活動してもらえるように、すべての色を明るいトーンにまとめました。

さて、このペイント場所は、かなり広範囲です。練習でホールを利用するコーラスサークルの人、図書室に本を返しに来る人…この施設を利用される様々な方に声かけを行いましたが、やはり不安は募ります。ペイントや道具がたくさんあっても、ペイントする人がいなければ始まりません。「参加人数が少なかったら、作業は夜までかかるかもしれない…」そんな緊張を抱えながら、当日を迎えることとなりました。

そして迎えた当日。有志メンバーがお揃いのHappy Wall ProjectTシャツを準備していると、どんどん人がやってきます。開始後も数は増えていき、40人以上が集まりました。日頃からコミュニケーションがある地域の人同士のつながりにより、有志メンバーのかけた声が広がって、「いつも施設を利用しているから、もっと素敵な空間になるお手伝いができれば…」と集まってくれたのです。チームワークも素晴らしく、当初、棚が邪魔だからとペイントをあきらめていたスペースを、みなさんで棚を移動させてペイントする場面もありました。有志メンバーの不安は杞憂に終わり、お昼過ぎにはすべてのペイントを終えることができました。

最後はみなさん「初めてでもこんなに上手にペイントできるなんて思わなかった！」と、達成感を胸に乾杯。「これからもこの学習館でサークル活動を続けていきたいね」と口々に学習館を大切に思う声に、有志メンバーの想いが伝わったようで、みんなにっこり。
地域に根ざしている場所を、そこに集まる地域の人が自分たちでメンテナンスする、手をかけることの素晴らしさを、私たちも改めて感じました。
こうして塚口南地域学習館でのHappy Wall Projectは大成功に終わりました。

さらにその後、足立事務長からこんな嬉しい後日談を教えていただきました。ペイントが終わった後、子どもたちで壁にお絵かきをしたそうです。

このように、自分たちで空間に手を加えたことで「もっとやってみよう！」と、新しいアイデアが生まれ、 “自分たちらしさ”がつくるられてゆくきっかけになれたことを、とても嬉しく思います。