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ペイントで変わりはじめる、私の暮らし

カラートーク vol.07 照明デザイナー 村角千亜希さん

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vol.07

照明デザイナー

村角千亜希さん
Chiaki Murazumi

「色」を専門的に扱うクリエイターの方々の、「色」に対する考え方やこだわり、実践しているアイデアをご紹介するインタビューコーナーCOLOR TALK。 もっと自由に楽しく「色」を扱うためのヒントが満載です。
Vol.7は、住空間やホテル、展覧会やランドスケープに至るまで、さまざまな空間の照明デザインで、人の気持ちと空間を繋ぐ照明デザイナーの村角千亜希さんにお話を伺いました。

1年程前に北青山へ移転してきた、村角さんが代表を務めるspangle。都心ど真ん中にも関わらず、最上階に位置するオフィスは明るく、気持ちのよい自然光と村角さん含む女性スタッフの皆さんの笑顔が迎えてくれました。暮らしを感じるあかりから、人の心をときめかせる体験を演出するあかりまで、人に密接に関わるあかりのデザインと色の関係性について伺ってみました。

村角千亜希さん:
照明デザイナーの村角千亜希です。
空間に感じる気持ちを光で表現し、人の気持ちと空間を繋ぐあかりをデザインしています。
小学生の息子とインタラクティブデザイナーの旦那さんとビンテージマンションをフルリノベーションした自宅で3人暮らしです。

照明デザイナーというのは、目に見えにくい光を扱うお仕事だと思うのですが、どのようなデザインをしているのか、
簡単にお仕事の内容を教えていただけますか?

村角千亜希さん:
私たち照明デザイナーは建築家やインテリアデザイナーが作った空間に対して、そこにどんな明かりがあったら相応しいか、みんながその空間をより楽しめるように良さを引き出してあげるデザインをすることです。
その建築やインテリアの魅力そのものをもっと高めることも必要ですが、そこの空間で過ごす人たちの時間の流れを考えてあげる仕事でもあると思っています。

私たちが気持ちがよいと感じる空間には、気づかぬ所で照明デザインの力が発揮されていることがわかりました。
空間の良さを引き出したり、人の時間に効果を与えるための色のこだわりやポリシーがあれば教えてください。


©PIECE OF PEACE
LEGO, the LEGO logo and Mini figure are trademarks of the LEGO Group. ©2017 The LEGO Group.
村角千亜希さん:
9年前から巡回展として続いている会場照明デザインのお仕事でレゴ®ブロックで作った世界遺産展「PIECE OF PEACE」という展示会があるんですけど、そこではカラーフィルターを効果的に使っています。
カラーライトを使う時には、個性を引き出しつつ、より「らしい」感じを伝えたいと思っています。
まず、1つ目はピラミッドの作品なんですけど、ハロゲンそのままの色ではなく、ピラミッドと同色のアンバーな黄色で頂上のところをかすめるように照明をあてています。すると劇的にドラマティックな空気感ができて、思わずぞくぞくしちゃうような効果が得られています。
対象物と照明を同系色で当て合わせると、ものと明かりが乱反射し合い、相乗効果で深い色合いが生まれるんですよ。
これは私が色のあかりを使用する際に使うテクニックの1つですね。
あとは、真っ白なレゴ®ブロックで出来たタージマハールの作品に淡いピンクの照明をふんわり纏わせることで、インドの魅惑的な印象を演出することに成功しています。
レゴ®ブロックは立体造形なんで、非常にシューティングしがいがあるんですよ。
照明の角度が1mmずれただけで作品の表情がガラッと変わるので、いつも真剣勝負です。
作品自体の設計はしていないけれど、影と光を設計することで作品の雰囲気をより完成に近づけている感じです。

照明デザイナーである村角さんにとって、ひと言で「色」とはどんな存在でしょうか?

村角千亜希さん:
日常の中での必要なスパイス。
なくてはならない刺激なのではないかと思います。スパイスがあることで心も安らぐと思うので。

お話を伺う中で、日常のスパイスとなる「色」も、最適な照明デザイン無くしては語れないモノだなと感じました。
実際に手掛けられたお仕事の中で、「色」が活かされた空間を紹介してもらいました。


設計:UDS(株)中原典人
村角千亜希さん:
京都にあるホテルカンラ京都リニューアル前の受付とカフェレストランの照明は、京都の色とりどりの四季の変化をカラーLEDで表現しています。カラー照明は、息をする様にふわふわと色が変化する演出をしています。人がいない静かな時はゆっくりと、人が多くなってくると少し早く色が変化するインタラクションの演出をしています。色の変化をただ自動演出するのではなく、意味をもたせたかったため、インタラクションをかけました。

設計:ea 清水徹   撮影:伊藤慎一

設計:THE HUB 三田伊理也、三田稚代
撮影:ナカサアンドパートナーズ
村角千亜希さん:
これは、caon成城というスパマッサージサロンの内装照明デザインのお仕事です。
エントランスには、これからメディテーションするために心も一緒に鎮静させていく狙いでブルーのあかりをたいています。
廊下などのつきあたりに印象的なシーンを設えることで、その先に何があるのか?
期待感を高める効果もあります。とても成功した事例となったので、その後住宅などでも同じ展開で青色を取り込んだ空間を作っています。

手掛けられた空間では、光と色を効果的に使い、照明デザインのお仕事自体を楽しまれていることが印象的な村角さん。
プライベートでも、「色」や「あかり」について何か工夫されていることがあれば教えてください。

村角千亜希さん:
わが家はビンテージマンションをフルリノベーションして暮らしているので、壁面のカラーや材質にはとてもこだわっています。壁色に、自分なりの白を見つけることって、とても大切で、私は白に少しだけピンクとグレーを調色した色を基本にしています。息子が優しい気持ちで過ごせるような空間にしたいという想いからのカラー設計だったのですが、結果的には真っ白ではなく少しトーンが落ちた色味にすることで、モノとモノを繋げるような白を使ることができました。
皆さんもLEDを購入する時に昼白色とか電球色とかを目にすると思うのですが、基本的には住宅での日常生活のあかりは2700ケルビン以下のあたたかみのある色温度の光源を選ぶことをオススメします。はじめから色温度がある程度低めのものを選ぶことで、より暮らしやすくなると思います。
そして、カラーのあかりを生活に取り込むことで一気にスペシャルな時間を作る事もできます。今、わが家ではスマホで色変換などもできるフィリップスのHUEという、お手軽なカラーLEDライトを使っているんですけど、イベントとか季節に合わせてあかりを使った演出がしやすく、より空間や時間の楽しみ方の幅が増えて、色やあかりで遊ぶことができるので楽しいですよ。

ROOMBLOOMでは189色の豊富なカラーがあります。お仕事場は色を見るために白で統一されているそうですが、さまざまな方法で色を取り入れていらっしゃるご自宅に新たなチャレンジとして使ってみたい「色」はありますか?また、塗りたい場所も教えてください。

村角千亜希さん:
今度ここを子ども部屋にリフォームする予定なので、写真などが貼ってある壁面にペンキを塗ってみたいです。
収納棚も作る予定なので、扉の面材に色をつけて、彫刻的で楽しく眺められる壁面にしたいと思っています。
カラーのネーミングの通り「星をちりばめたような夜空」のような、静かでノスタルジックな印象になればなと。
落ち着くこともできるし、わくわくもできる!小物、家具、ファブリックなどで、カラフルにはできるので、ベースは濃いブルーでシックで落ち着いた印象にまとめたいと思いました。

設計:THE HUB 三田伊理也、三田稚代  撮影:水谷綾子

モノの表面色に留まらず、その存在自体の魅力を最大化するためにあかりをコントロールする、照明デザイナーというお仕事の繊細な気遣いを知る程に、驚きと納得の連続でした。
現代の暮らしを考える時に、あかりを無しに考える事は不可能です。2700ケルビン以下の明るさで過ごす事や、スマホでコントロールできるLEDなど、村角さんからアドバイス頂いたすぐに取り入れられそうなアイデアを実践しながら、暮らしの心地よさを1段階レベルアップさせてみてはいかがでしょうか。

照明デザイナー

村角千亜希さん
Chiaki Murazumi

東京生まれ。女子美術短期大学/造形科・生活デザイン 卒業。株式会社近田玲子デザイン事務所 勤務。
有限会社ライトデザイン 勤務。スパンコール設立。2010年から武蔵野美術大学•特別非常勤講師。
ホテル、サロン、SPA、レストランなどの商業施設から、住宅、ファサード、外構、クリスマスイルミネーション、Exhibition、
など、幅広い分野の「光の設計」を手がけている。「人・場・時間」をつなぐあかりを大切にデザインしている。
著書に「照明で暮らしが変わる あかりの魔法」エクスナレッジ出版が発売中。
代表作は、「ブルーノート東京/X’mas ディスプレイ」「愛知万博・ヨルダン王国パビリオン」「銀座レカン」
「ホテル  カンラ京都」※2017年グッドデザイン賞受賞