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ペイントで変わりはじめる、私の暮らし

カラートーク vol.01 テキスタイルデザイナー 鈴木マサルさん

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vol.01

テキスタイルデザイナー

鈴木マサルさん
Masaru Suzuki

「色」を専門的に扱うクリエイターの方々の、「色」に対する考え方やこだわり、実践しているアイデアをご紹介するインタビューコーナーCOLOR TALK。 もっと自由に楽しく「色」を扱うためのヒントが満載です。
Vol.1は、marimekkoやCAMPERなど世界的なブランドのデザインも手がけるテキスタイルデザイナー鈴木マサルさんにお話を伺いました。

都会のど真ん中なのに、オレンジの可愛い商店街フラッグがかかったエリア。
これも実は鈴木さんのデザインだそうです。まずは、お仕事場について教えてください。

鈴木さん:
渋谷の「円山町」という相当なディープスポットに事務所を構えてもう20年近く経ちます。
最近でこそ「裏渋」とか言われておしゃれなカフェとかもポツリポツリとオープンして良い雰囲気になってきましたが、
開設当時は怪しさ満点の地域で、打ち合わせに来る人たちもみんな嫌がっていました(笑)。

私たちの生活にテキスタイルはかかせない存在ですが、いざテキスタイルデザイナーという職業となると、
何をどうやって考えるのか想像がつきません。そこで、鈴木さんに、テキスタイルデザイナーの仕事内容を教えて頂きました。

鈴木さん:
テキスタイルデザイナーの仕事は「布、生地」をつくる事。
例えばインテリアのカーテンや椅子張り生地、アパレルの服やカバン用の生地、ハンカチやポーチなどの雑貨関係などなど、テキスタイルと言っても分野は色々です。その中でも私は主にプリントテキスタイルと言われるものを作っています。
布に色や柄をデザインして、その色や柄によって人の気分をあげたり環境を変えて行く事を目指して仕事をしています。

紙にプリントするのとは全然考え方も違いそうですね。
テキスタイルにプリントして色を付ける時に心がけていることや注意していることはありますか?

鈴木さん:
テキスタイルに色を付ける時、我々はよく「染める」という言葉を使います。表面に色がつくのではなく、インクの様な染料が布1枚、糸1本の中に染み込んで行くので、テキスタイルの色には素材と一体になった物質感があります。
なので、テキスタイルの色を考える時はグラフィック的なシャープな感覚というよりも、ユラユラと揺れる生地をイメージしながら実際の生地でプリント色を指示したりと、アナログ感たっぷりの作業になります。
デザインと言う言葉のイメージからはちょっと離れた、ローテクな感覚を大切にしています。

パソコンに向かって作業するとばかり思い込んでいたので、アナログな作業が多いことにびっくりしました。
作業の中で最終的に色を選ぶ時のこだわりやルールってあるのでしょうか?

鈴木さん:
テキスタイルの製品に色を付ける場合、同じ製品で違う配色(色違いのもの)を作る事が多いので、
乱暴な言い方をすると私にとっては色が赤でも青でも、色相は何でも良かったりします。
大事なのは彩度、明度、濃度のバランスと組み合わせではないかな?
あとは、売れ筋やトレンドとかに惑わされずに自分の勘を信じる事でしょうか。でも、この誘惑を断ち切るのはとても難しいです。

テキスタイルデザイナーである鈴木さんにとって、「色」とはどんな存在なのかをお聞きしました。

鈴木さん:
良くも悪くも、どんなものでも一瞬で雰囲気を変えてしまう、とても力強い存在だと思っています。
色には「役割」と「感情」という2つの側面があると思っていて、仕事の上では役割をどのように考え、
それに最適な色をセレクトするのがデザイナーの役目だと思う反面、ただ「好き」とか「キレイ」とか単純に「おーっ」と思うような感情も必要ではないかと。個人的には後者を大事にしたいな、と思っています。

実際のお仕事を通して、色の考え方やこだわりをご紹介頂きました。

色で気分を盛り上げる

鈴木さん:
傘のデザインをよく手がけます。雨の日で出かけるのが面倒だなあと思っても「まあ、あの傘をさして出かけるか!」と、
思える様な、気持ちが前向きになれる様な傘が作れたらと、いつも思ってデザインしています。色にはそういう、人の背中を押してくれるような力があると思っています。

色で気持ちを和らげる

鈴木さん:
病院の壁画を手がけました。1階から7階まで森をイメージした連続したデザインにして、各階ごとに柄や色を変えています。病院の壁が白いままでも清潔感があって良いと思います。でも病院側の要望で「子供たちの気持ちが少しでも穏やかになる環境にしたい」という要望を受けてデザインしました。刺激の強いビビットな色彩は避け、派手ではなくても色の組み合わせで明るいカラーリングになるよう意識した仕事です。

お仕事と「色」は切っても切り離せない存在だと思いますが、ワークスペースやご自宅で「色」を意識的に使われていることってありますか?

鈴木さん:
仕事が好きで、仕事が趣味という完全無欠のワーカーホリック人間の為、身の回りの環境は全て仕事が中心になってしまっています。良くないなーとは思いつつも、私はデザインを考える時、壁や窓を眺めて色柄を空想する事が多いので、身の回りの空間はなるべくニュートラルにしておきたいと考えています。
なのでオフィスも自宅も、あえて白で統一し、装飾もしていないです。

ROOMBLOOMでは189色の豊富なカラーがあります。あえて白で統一されているオフィスやご自宅に、少し変化を持たせるとしたら、使ってみたい「色」はありますか?塗りたい場所も教えてください。

鈴木さん:
事務所を改装する時に床まであった窓を腰窓にしました。その際にちょっとした外壁が出現したのですが、賃貸だし、周りの環境との調和もあるので、外壁に近いグレーで塗りました。
これはこれでシックで良いのですが、いつか大家さんに交渉してキレイな色にしてみたいなあと妄想しています。もし妄想を現実とするのであれば、RB-DM22 vivaceが気になります。
ちょっと派手だけど、事務所に来るたびに明るい気持ちになれそうだし、外壁のグレーや窓枠の木の色とも相性が良いのではないかと思います。

※ROOMBLOOMの塗料は内装用となります。

ポップな色使いのお仕事は、とてもニュートラルな空間で生まれているギャップに驚きました。
時代に流されず、鈴木さんの内側から考え出されている色だからこそ、ただ可愛いでだけではなく、人の気持ちを盛り上げるようなパワーが色からも感じられるのかもしれません。
インテリアにしてもファッションにしても、毎回同じような地味な色ばかり選んでしまう…という人は少なくないと思います。
「色相は何でも良い!大事なのは彩度、明度、濃度のバランスと組み合わせ」という鈴木さんの言葉を頭の中に置いておけば、
もっと楽しく暮らしに色を取り入れられること間違いなしです。
自分の暮らしも色のバランスや組み合わせという視点で、一度見直してみてはいかがでしょうか?

テキスタイルデザイナー

鈴木マサルさん
Masaru Suzuki

多摩美術大学染織デザイン科卒業後、粟辻博デザイン室に勤務。1995 年に独立し、2002 年有限会社ウンピアット設立。
2005 年からファブリックブランドOTTAIPNU を主催。色鮮やかなハンドプリントによるファブリックを中心に、タルやバスマット、ハンカチ、傘など、生地本来が持つ魅力にあふれたコレクションを展開しています。自身のブランド以外にも、国内外の多くのブランドからテキスタイルを発表。また、テキスタイル以外にも、様々なプロジェクトに参画し、ファニチャー、プロダクト、アパレル、空間など様々なシーンに向け、パターンデザインや自身のテキスタイルを軸にしたデザインを提供しています。
http://masarusuzuki.com  http://ottaipnu.com