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国際コンペNPYDA2015 日本のwinnerが決定しました!

日本ペイントグループがアジア各国をまたいで開催する国際コンペティション
「Nippon Paint Youg Designers Award」において、2015年度の日本の優勝者が決定しました。
「Design With Heart」を今年のテーマとしたこのコンペティション。
各国の建築系・デザイン系学生のみなさんが国をこえて一つの課題に取り組みました。
日本で見事優勝を手にされたのは、大阪市立大学大学院工学研究科に在籍されている上田満盛さんです。
おめでとうございます。才能溢れる未来の建築家の活躍を期待します。

<現在エントリー受付中!>2016年度Asia Young Designer Awardについてはこちらから

上田さんの作品と審査員のコメントを発表します。

優勝 上田満盛さん(大阪市立大学大学院・1回生)
「このコンペの魅力は日本語が使えないチャレンジングな環境を与えられ、その中で他国の優秀な学生と建築について議論して交流を図ることができる点です。そのような環境は自身に度胸を与え、一つ成長をさせてくれると共に、他国の学生との交流は自身に新たな価値観を与えてくれたように思います。日本で学んできた建築をデザインする上であるコンセプトを掲げ、ロジックに建築を展開する力は海外でも優位に働くと感じました。研究室でやっていたことが評価されたことは嬉しく、また、ワークショップを通して他国の学生と知り合い、今でも交流が続いている点は最も大きな収穫のひとつです。」

npyda2015winner

 

<審査員コメント>

Mr. kazuma yamao
山雄 和真
ギングリッチ一級建築事務所

屋根というシンプルな要素を用いて、非常にバラエティに富む空間を描ききっているところが素晴らしいと思います。
敷地に選んでいる小学校という施設は住民のコミュニティの中心となる場所に計画されていたのでしょうが、そこに旧来の街のスケール感や空間体験を再解釈して持ち込み、現代性を持つ児童養護施設というプログラムを核に新しいコミュニティ形成の場と再設計しようとする態度には好感が持てます。
指摘をするのであれば、街の人々に共用部を開くという点で、もう少し具体的にどのようなプログラムと風景が考えられているのかを描いて欲しかったと思います。
通り抜けを作るだけで、本当にそこに交流が生まれるのか?その空間が、なぜ屋根形である必要があるのか?
児童養護施設は非常にナイーブな問題を抱えたビルディングタイプだと思います。そこを描くことができれば、より説得力のある提案につながる気がします。

 

Ms.naruse
成瀬 友梨
株式会社 成瀬・猪熊建築設計事務所
一級建築事務所

児童養護施設の余剰スペースと、地域のコミュニティスペースをうまくシェアして共用していくというプログラムの提案です。子供達にとっては、施設外の人との交流が生まれ、地域の人にとっても、単に使える公共スペースが増えるというだけでなく、お年寄りにとっては子供達との交流自体が楽しみにもなると思います。特徴的な三角屋根を採用することで、大きな開口部がゲートのように利用者を迎え入れます。道沿いから内部の様子がよく見え、奥に入ると、中庭、通り抜け空間、駐輪スペースなどの屋外空間と内部空間が重なり合った楽しそうな空間が連続しています。地域の囲碁クラブや陶芸教室などの活動と、子供達の生活が庭等の屋外空間を介して繋がって、心地よい距離感が生まれるのでは、と思います。細部まで考えて計画されており、最優秀賞に値する作品。

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仲 俊治
株式会社 仲建築設計スタジオ
一級建築士事務所

まず、敷地の設定の仕方、建築の性格付けに説得力があると思った。国際的なコンペであるから、広い視野をもって取り組んだ点が評価できる。つまり、少子高齢化、格差拡大、空き家、地域社会の活力衰退など、課題先進国としての日本における典型的な都市空間を題材にして、地域社会と共にあるような、インクルーシヴな建築を構想している。
プレゼンテーションが美しく、子どもたちにとって、様々なスケールの居場所が提案されている。この建築を使いこなす子どもたちが居ることで、街の人たちにとっても日常の楽しみが増えるだろう。
色彩の提案についても、その活気や親密さをもたらすものとして慎重に提案されているように思えた。また、ヤードと呼ぶ屋外部分の植物や土が浮き立つように屋根の色彩が選定されているようにも思えた。
惜しむらくは、建築がプログラムと形態の操作に留まっていることであろうか。プログラムの複合は、そのこと自体に意味があるのでは無く、複合する部分の境界面を空間化し、新しい居場所をつくりだすことに可能性があるから。比較的閉じた境界面の提案に留まっているのは、「屋根」に着目しつつも、それを「壁」的に、つまり区分するエレメントとして扱っているからだと思われる。全ての屋根が着地しているところにもそれは見て取れる。屋根は壁とは違うと宣言しているにもかかわらず、この扱い方はやや矛盾に思えた。
しかしながら、上段で述べたような提案の「飛距離」を考えたときに、本コンペにおける最優秀賞に値すると判断した。

 

<上田さんの作品>

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