ペイントで変わりはじめる、私の暮らし

コラム

08.土の色、自然の色

08.色から暮らしを考える 〜土の色、自然の色

写真提供:403architecture[dajiba]
撮影:Kenta Hasegawa

建築の色について考えていくときに、そこには自然の物と人工物という対比があるように思います。色には多くの人があこがれを持っていたはずです。色を使いたいという人間の欲求、自然の色に対して人工物の色を使っていきたいというのも人間の欲求でもあるでしょう。色のない壁のままでは不安になったのかもしれません。たしかに自然界に対して手を加えていくこと、どこかで自然を征服していきたいという欲求も人間の歴史です。しかし一方で自然界の法則に見習っていくのも人間の身体的な欲求とも思えます。

宗教的な建物や宮殿などの建築をのぞけば、建築の色とはもともとその土地でとれる素材から自ずと決まっていたのかも知れません。街によって家の外壁も同じような色になるのはその土地の土で作られていたからなのでしょう。工業化が進み、色が自由に化学式で作られる時代となり、どんな色も自由に選べるようになったのですが、これもこの100年ぐらいのことなのです。それまでは色はとても高価な、そして貴重なものだったでしょう。そもそも植物や鉱物を混ぜて色を出したのでしょうが、貴重なものだけにその色への愛着も深かったに違いありません。そして元の土と色が混じり、深みのある色が自然と出たのだろうと思います。京都や金沢の古い建物でベンガラ色(深い赤い色、インドベンガル地方から伝わったと言われる)の建物は、かつては土に混じる酸化鉄で色を出していたと言います。高価で手間のかかるその色は富の象徴であったのでしょう。

しかし、色の選択の自由は、人々にもともとの自然の色への記憶を消していってしまったとも言えます。人間は音にせよ、色にせよ、この世にある自然のものからそれらを学んできたはずです。心地よいと感じる身体的な感覚は自然界のバランスに基づいているはずです。太古の昔にジャングルで過ごしてきた人間にはそうした記憶が今もなお刻み込まれているとも言われています。森の中に入り散策すると気持ちも落ち着き身体も軽くなるのはそうした理由からだとも言われています。

上の写真をごらんください。土の素材そのものの色は安心感と心が安らぐのはそうした理由からかもしれません。今や自然の色をそのまま使う事のほうがかえって難しいかもしれませんが、しかし自然の色を意識して色を選ぶというのも方法の一つに思います。

暮らしを包む家の色、それは自然界の色のバランスの中にいるのだと考えてみてはどうでしょうか。色を使うとしても、木の実が赤や橙の色があるように、野原に花が咲くようにどこかに少しだけ色を加えてみるのです。自然の法則に従って暮らしてみる。そうした考え方にそって色を選ぶのです。

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